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第五話


 小部屋の扉を蹴破り踊りこんできた数人の男達は、扉の近くにいた妖精族の少年を蹴り飛ばす。
 その勢いで少年の持つリュートは、地面に転がる。
 猫の獣娘と有翼の少年は慌てて身構えるが、武器は先ほどの蔦から逃れる際に失っている。
 それでも男たちに果敢に挑むも、数と体格で上回る男たちに為すすべなく組み伏せられてしまう。

 残った男たちは、部屋の隅に追い詰められた妖精族の女性を取り押さえるため輪を縮める。
 かつては城に眠るお宝の噂に胸を躍らせ、そして今は城に囚われ絶望に支配された哀れな男達。
 久しぶりの上等な獲物を前に下卑た笑みを浮かべながら、男達は人生の最後の瞬間を迎える。

 突如乱入してきた狐面を被った男が、手にした刀で男達を次々に仕留めて行く。
 狐面の男は、城の入口で猫の獣娘と別れた獣人である。
 瞬く間に男達は倒され、最初に妖精族の少年を蹴り飛ばした男を含む数人だけが残る。
 残った男達は、躊躇なく踵を返すと仲間を見捨て脱兎の如く逃げ出す。

 追おうとする狐面の獣人に、猫の獣娘は恐怖と安堵から涙を浮かべ師匠と声をかけすがりつく。
 狐面の獣人は、その獣娘に城の散策中に見つけた剣と盾を押し付ける。
 半端な技に頼るよりは、これを持って立ってるだけの方がマシだと言われ、獣娘は不満げな顔を見せる。
 渋々と獣娘がそれを受け取るのを確認すると、狐面の男は自分は逃げた男を追うこと伝える。

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