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第六話
逃げた男が仲間を連れて来るかもしれない。
狐面の獣人の言葉は、至極もっともである。
有翼の少年は、倒れている男達の手から粗雑な槍を取り上げると同行を申し出る。
妖精族の女性も、床に伏した死者達に軽く祈りを捧げると、有翼の少年に同意する。
狐面の獣人は、二人に対して何か言いたげなそぶりを一瞬見せる。
しかし今はその時ではないと判断し、無言で踵を返すと逃げた男達を追い始める。
当然のように猫の獣娘も従い、妖精族の少年だけが一人取り残される。
慌てて地面に転がったリュートを拾い上げると、妖精族の少年も追いかける。
猫の獣娘が先導し、逃げた男達が逃げ込んだ小部屋を突き止める。
他に仲間がいないのを確認すると一行は部屋に雪崩込み、残った男達は哀れ最後との時を迎える。
男達を始末した一行は、小部屋の隅にまだ動く物があることに気気付く。
警戒しながら近づくと、そこにはボロボロの服を纏った犬の獣人の子供が横たわっている。
まだ弱々しいながらも息はしているのを確認すると、妖精族の女性が手当てをする。
手当のかいあり、犬の獣人の子供は、意識を取り戻す。
意識は取り戻したもののひどく怖い目にあったのか、獣人の子供は怯えるばかりである。
しかし妖精族の女性のかける優しい言葉により、ようやくぽつぽつと身の上を語り始める。
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